先日メールをくださった、藤沢市鵠沼の「設計工房 楽(がく)」さんにお邪魔しました。鵠沼の静かな住宅街のなかに、ともに建築士の岩間さんご夫妻の事務所兼ご自宅があります。何とおだやかでゆったり。暖かな陽射しのもと、敷地の入り口に立つ木製の看板には、妻いずみさんが焼かれた陶器の「楽」が春の光を浴びていました。

事務所兼ご自宅入口の引き戸を開けると、昔の土間を感じる空間に古い調度品がそっとおしゃれに並び、そこに木の丸いテーブルが揺れています。えーっ?揺れている・・実は2本のワイヤーに吊るされた丸テーブル、下には丸い金属の重りがどっしり床から支えていました。丸テーブルの板がまたユニーク。模様のように見える板目は、数十種類の木材を貼り合せたもの。実際の家具としては褒められる作りでは無いそうで、実は木材の見本帳としての役割を持たせているとのことです。「これは松の木、これはケヤキ」さらには「この隙間は、木の収縮によるもの」と、敢えてお客さんに「木材」を実感してもらおうとのアイデアから。見回せば、空間すべてが家づくりの見本帳に。壁は土壁、床は小石を散りばめた「洗い出し技法」の土間、そして上はワラと海藻?!を混ぜた何ともシブい天井です。早くから、化学物質で囲まれた家づくりの危険性を心配し、すべて天然オンリーの素材を使用する、という設計士ご夫妻です。

そんな岩間さんご夫妻が今取り組んでいるのが「金太郎の森の家ネットワーク」です。森の所有者・製材所・工務店・建築士がタッグを組んだネットワーク。足柄地域の森に育つ木を「伐採・山での乾燥(葉枯らし)・製材・自然乾燥・着工・完成」と、木が家に生まれ変わる過程を、施主が目で見ることのできる家づくりです。家も大工さんの手刻みによる伝統工法・自然素材で建てられます。最近「安全・安心」と人気の高い木組み・自然素材の家づくりですが、岩間さんはその「免震力・リサイクル力の高さ」を実に分かりやすく説明してくださいました。地震の国ならではの先人の知恵を感じます。
同ネットワークでは、すでに数棟分の木材が天然乾燥されて出番を待っているとのことですが、今後、製材した木材ありきではなく、建てる家に合った寸法の木材を山で調達できる強みがある、と岩間さんは話されます。さらに木を余すところなく有効に木材に製材することでコスト面のメリットも。
いま、確かに国産材に注目が集まっているものの、一部では木材が工業商品のように扱われることが心配、と。外材との比較で安さだけを追求すれば、再び見向きされなくなる時がきて森の荒廃が進むとも考えられます。
木の年輪を見ると、輪の幅がぐんと広がる所があるそうです。それは、その周囲の木が間伐されたことで森に光が差し込み、木が元気に成長をした証とのこと。
いま木々が密集し暗く荒れた森が増えているなか、家づくりのために木を伐ったとき森にぱっと差し込む光を、目で見て欲しい、と岩間さんは話されます。

日本民家再生協会にも所属する岩間さんは、古民家にも詳しい建築士さんです。壁にそっと飾られた古い調度品も蔵から出てきたものもあり、おしゃれな雰囲気をかもし出していました(えっ?その狛犬はネットオークション??)。天然素材の研究も熱心のご様子で、海藻や岩土の原料をいろいろ拝見。気づけば、何時間居座っていたんだ?と急に申し訳なくなるほど長居していました。大変失礼しました。
また、今回私自身ひとつ大きな目標を持つことができ、帰りの電車から試行錯誤を始めました。今日は本当にありがとうございました。



